監督・脚本・プロデューサー
太田隆文

プロフィール
1961年和歌山県田辺市生まれ。南カルフォルニア大学・映画科に学ぶ。2004年大林宣彦監督の映画『理由』のメイキングを担当。2006年、故郷・和歌山県田辺市を舞台に青春ファンタジー映画『ストロベリーフィールズ』を監督。カンヌ映画祭でも上映。和歌山県から「きのくに芸術新人賞」を受賞。2010年、浜松市を舞台にした『青い青い空』を監督。地元では2万人を動員し、その年1番の大ヒット。ロサンゼルスの映画祭でも上映。いずれも原作のないオリジナル脚本を自ら執筆。地方の美しい自然が描かれた作品で、「親子に伝える大切なこと」がテーマ。「毎回、涙が止まらない爽やかな感動作を作る」と多くの映画ファンから注目されている。
太田隆文監督からのメッセージ
2011年3月11日。巨大地震が福島第一原発を襲いメルトダウン。だが当時、僕はテレビ報道を信じ、「直ちに健康被害はありません」という官房長官の言葉に疑問を抱きながらも、原発では大きな被害は出ていないと思い込んでいた。その後、観光イベントでご一緒した静岡県湖西市の三上市長が、観光PRそっちのけで延々原発の危険性を熱く訴えていたのがきっかけで、原発問題に興味を持つ。調べると福島の原発事故は未曾有の大災害であり、降り注いだ放射能は子供たちに多大な被害を与えることを知る。なのに多くのマスコミは事実を伝えていない。福島では何万人もの人たちが今も故郷に帰れずにいるのに、「原発事故は終わった」と思う人も多い。何かしなければ、日本人として何かせねば。「親と子に伝える大切なこと」をテーマに映画を撮って来た僕にとって、今こそ「大切なこと」を伝えるとき。だが、何をすればいい? デモに参加するのか? ネットで事実を伝えるか? いや、映画を作ろう。僕にできるのはそれしかない。原発事故の悲惨さを、福島の人たちの悲しみを痛感できる映画を作ろう。映画会社、ビデオメーカー、テレビ局、いくつもの企業に企画を持ち込むが、「原発の映画には出資できない」と断られる。業界の先輩たちからは、「そんな映画を撮ったら、二度と商業映画は撮れなくなるぞ」と注意された。原発というと多くの人が避けて通ろうとする。だが、ここで諦めたら商業映画が監督できなくなる以前に、「親子に伝える大切なこと」を伝える映画を撮る資格がなくなる。途方にくれていたとき、三上市長の存在を思い出し、相談。「市民からの寄付で作れるのではないか?」と提案を受ける。それに賛同してくれた湖西市民の方々の応援でスタート。1年半後、映画は完成。ロスアンゼルスの映画祭で上映。大好評を得た。いよいよ日本での公開がスタート。この映画に出てくるエピソードは全て福島で起こったことをベースにしている。それをひとつの家族に集約して描いた。その悲劇を皆で見つめることで、原発事故の悲しさと共に「家族の絆」「親子の絆」「日本人はこれからどう生きて行くべきか?」そんな大きなテーマが見えて来るはずだ。「本当に大切なものは何か?」が見えてくるはずだ。最後に、映画『朝日のあたる家』に参加、応援、支援してくれた全ての方に感謝したい。

(C)「朝日のあたる家」